・お年頃の女は色々悩む、むしゃくしゃする
この本は四つの話のある短編集。四つの短編集の共通点は「若くない女性が行き先に迷いながらも、心地いい自分の生き方を見つけるお話し」と言えばいいでしょうか。
最初の「さいはての彼女」は、実業家の女社長「スズカ」が、恋人に逃げられ、有能な秘書にも辞められ、むしゃくしゃするなか沖縄でバカンスをする予定する。
沖縄の予定がなぜか北海道一人旅をすることに。しかも到着地は「女満別空港」。北海道の果ての方。
そこでハーレーを乗りこなす若い華奢でかわいい女の子「ナギ」と出会う。
ナギは人懐っこく、スズカをハーレーの後ろに乗せて連れ回す。
とても明るい凪だが、耳が不自由。相手の口の動きを読んでコミュニケーションをとっている。
ナギは生まれた時から重度の難聴だったが、小学4年生の頃完全に聞こえなくなる。
ナギは泣きながら父に訴える。
「耳の聞こえる人とナギの間に「線」みたいな物があるの。ナギどうしてもそれを越えられないの。あっち側に行けないの。
ナギの父は
「ナギ、そんな「線」はどこにもない。もしあるとしたら、それは耳が聞こえる人たちが引いた「線」じゃない。お前が勝手に引いた「線」なんだ。いいかナギ、そんなもん越えていけ。どんどん越えていくんだ。越えていくために、父さんがいいこと教えてやる。
それからナギの父はナギにハーレーを教えていく。
ハーレーに夢中になったナギは、全国あらゆるところにハーレーで走り、いく先々で友人を作っていく。
そんなナギに出会ったスズカが、ナギと出会い、北海道の美しい自然、夕日を見て心を動かし、少しずつ心が柔らかく変化していく様子がすごくいいんです。
後の3つの話も、がんばりすぎて大事なものを見失った女性たちが、旅行に出て本当に大切ななものに気づく、そんなお話しです。
・旅行に行きたくなる
旅行など、自分のことを知らない非日常の世界に行ったら、そこの土地の人に助けてもらったり、否が応でも自分と向き合わなくてはならず、本当に自分が大切にしたいものに気づくかもしれませんね。
本のいいところって、「心が動いて行動したくなる」でしょうか。
「旅行に行きたい」「北海道に行きたい」。
私にはこれが生きる力につながります😀
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